【パーカー】デンマーク製「ビクトリーMk.V」（c.1950s-60s）

【Parker】”Parker Victory Mk.V”（c.1950s-60s） Made in Denmark.

今回はデンマーク製「パーカー・ビクトリー Mk.V」をご紹介します。この個体は50年代に製造・販売が開始されたビクトリーの最終バージョン？でエアロ・フィラー式となります。元々ビクトリー（Mk.IIIやIVなど）はペン先が柔らかめでいわゆる「ヌラヌラ」系の代表格のようなペンでインクフローが良く「如何にも万年筆で書いてます」というタッチが好きな方々には堪らない魅力がありますが、このMk.Vもそれらの特長を継承しております。しかし私的にはコントロールが難しく苦手なタッチなんですがね～、マズは写真から……。

※ダーク・グリーン軸でかなり日焼けと部分的な退色が進んでおります。

さてこの「ビクトリー」が「U.K.デュオフォールド・ファミリー」の一員かどうかの議論はさて置いて、この個体は日焼けと軸やキャップの退色が進んでおり決して良い状態とは言えませんでしたが、私的にはこのように劣化したペンは結構好みなんです……。話しは変わって、この頃の「U.K.デュオフォールド」は軸の直径やサイズが違う様々なモデルがラインナップされており、パーカー社としては何か実験的なマーケティングを行っていたのでしょうか……？ちょっと当時のシェーファーやウォーターマンでは考えられないほど種類があります。ただこのビクトリーは「ペン先が柔らかくてヌラヌラ系」という興味深い側面を持ち合わせておりますが、商品としての立ち位置は微妙な感じがしますね。

※デンマーク製「D」ニブと胴軸のインプリント。日焼け具合がイイ感じです～。

ペンのディテールはエアロ・フィラー式でキャップを閉じて約13.5cm、キャップを尻軸に差すと約15.7cm、胴軸の直径が約11.5mm。ペン先は「U.K.ビクトリーのNo.10ニブ」相当のデンマーク製ニブ（セミフレックスの中字）。インクフローは「ドバドバ」で良くも悪くも「ヌラヌラ」系。ペンのバランスは悪くありませんが、私的には使いこなすことができておらずコントロールもしきれておりません（笑）。またペンは写真では細長く見えますが、実際握ってみるとちょうどイイ太さに感じますね。余談ですがこのペン・サイズは後に発売される「DUOFOLD JUNIOR」へ継承されていくようです。

※ダーク・グリーンからブルー・グリーンへ退色していく様がイイ感じ。

この度は構造的には何一つ問題は無くレストアは必要ありませんでしたが内部は徹底的に洗浄しました。しかしこの時代のパーカーは本当にメンテナンスが楽ですね！！