【エスターブルック】「SM」（初期型デラックス・ペン）+ ヴィーナス・ニブ(c.1949-55)

【ESTERBROOK】“SM(DELUXE PEN)” (c.1949-55) with Venus nib

今年に入ってからなぜか「エスターブルック熱」が冷めません。

今回はやっと念願が叶って私の手元に来た「デラックス・ペン」を紹介いたします。数年前より「欲しい、欲しい」と思いつつ入手ができなかったペンですが、やっと来てくれました。パステル調のこのようなペンを入手すると私の「治したくなる症候群」が発症するようです。このペンは例のパール模様の”J-PEN”シリーズの中の”LJ”（スレンダーモデル）とスペック的にはほぼ同じですが、こちらはプラスチック軸＋金属キャップ仕様で軸色はソリッドカラーのみの設定。まさに私好みの一品。”LJ”と唯一仕様が違うところは軸とキャップの接合方法がネジ式ではなく、スリップオンタイプだということ。この時代のエスターブルックではかなり珍しい仕様となっています。全体的にスッキリとしたシンプルなデザインが気に入っております。また、天冠と尻軸にジュエル（ダブル・ジュエル）がついているので初期型デラックス・ペン（SM）のようです。

※軸の色は「サンド」と呼ばれているカーキ系。

唯一残念だったのは付いてきたニブがまったくダメで使用不能だったこと。そこで手持ちのエスターブルックにも使える「互換ニブ」に交換してみました。互換ニブはLinton、Osmiroid、Morrisetなどがありますが今回はVENUSニブをつけてみました。VENUSニブはエスターブルック “RENEW – POINT” 2000番台シリーズの “General Writing” と同等品ということになっておりますが、耐久性に少々難があるようで評価もあまり高くないようです。但しその分価格が安いので（4～5ドル程度）コストパフォーマンス的には十分だと思いますが……。互換ニブを使う上で注意したいところは規格やサイズが合っていてもインク漏れや過剰なインクフローに悩まされる可能性があることも留意しなければなりません。この度は特に問題はありませんでした。書いた感じは純正品より少しシナリを感じる程度でフローも良く字幅も細目で決して悪くはありませんでした。

※VENUS NIB (FINE)。VENUS社（米国の鉛筆メーカー）は60年代中頃にエスターブルック社を買収、さらに70年代に入り今度はVENUS社がファイバー・カステル社に買収されました。その後エスターブルックの名を冠した製品が登場することもなく現在に至るまで「塩漬け」状態のようです。※追記（2017/8/7）＝2014年?にESTERBROOKブランドが復活したようですね！

吸入方式はこの時代のエスターブルックの定番でレバーフィラー式。サックサイズは#16s。メンテナンスは容易で消耗品のインクサックの交換のみ。金属キャップ仕様なので若干トップヘビー気味ではありますが、書いていても手が疲れることもなく結構バランスの良い仕上がりになっています。