【パーカー】=幻= カナダ製「パーカー V.S.」（c.1940s）+ レストア編

【Parker】”Parker V.S.”（c.1940s） Made in Canada.

遂に100回目の投稿となりました。カナダ製「パーカー V.S.」も以前紹介した「ステイツマン・フレックスニブ」同様、存在するのかどうか疑わしいシロモノとしてかつてはパーカー好きのハードコアな連中の話題となっていたペンの一つです。おそらくweb上での公開は世界初（大袈裟か……！）かな？正に幻の一品ですね。今度も偶然 eBay で発掘しましたが、写真映りが良くなく「カナダ製」とハッキリ確認できないままカケに出てみました。期待と不安が交差する中、届いたペンは「カナダ製」でした。先ずは写真から……。

※外観は至ってノーマルな「V.S.」。

※「カナダ製」のインプリント。カケに勝ちました。

ペンのディテールやスペックは「米国製V.S.」と全く同じです。ボタン・フィラー式で66mmプレッシャー・バー、#16sサイズのインクサックなどの内部パーツの規格や材質、クオリティは米国製と何ら変りはありませんでした。唯一の違いはボタン部分の形状だけでパーカーの一般的なモノと比べて若干アタマが平たい感じがしますね。またペン自体の状態も悪くなくレストアの方は順調にいって特に問題が無く、パーツの破損・欠損もありませんでしたので短時間で使用可能な状態になりました。外観は「プレ・リム＋ルネッサンス・ワックス」で仕上げてみました。以下が内部とレストア後の写真です。

※レストア後の状態とボタンの形状。

ペン先・ペン芯は一度ノックアウト・ブロックを使って叩き出した後、洗浄して元に戻しました。私的にはこの透明タイプのペン芯は頂けませんね。当たり前ですがインクを吸入するとインクの色に染まっていくのですがどこと無く汚らしい感じが漂ってきて、せっかく洗浄したのに洗った甲斐がありませんね。やはり黒いエボナイト・タイプの方がいろいろな意味でベターな感じがします。さて、ペンの使用感なんですが期待とは裏腹に「カナダ製」らしい特徴やタッチ感は全くありませんでした。またペン先のガチニブ感や書き心地など全体的（クオリティも含め）に何も「米国製」と変るところは無く、少々期待を裏切られた感じはありますね。モノとしては「米国製」と同じと言っていいでしょう。但し、「V.S.」らしいインクの潤沢感は健在で執筆中はとても気持ちの良いインクフロー感がビシビシ伝わってきます。この点がこのペンの唯一の美点ですね。

※カナダ製のインプリントが刻印された14Kニブ（細字）。ペン芯が……。

最後にこのようなアトラクティブなペンを探しまくる自分がヤバイ世界に入り込んだような気がしてなりません。このまま前進していくのか……、或いは後戻りするのか……、判りません。そこは自然の成り行きに任せたいと思います。ただ珍しいものは今後もドシドシ紹介していきたいと思います。