カミングアウト！実はエスターブルックの隠れファンなんです

【ESTERBROOK】 “PURSE PEN” [CH] -Pastels- (mid.1950s)

アメリカの二流処（失礼！）のペンメーカーの雄、エスターブルック（今は存在していない）の実は隠れ大ファンなのです。しかし”Estie”と呼ばれるまでには至っていない。エスターブルックの特筆すべき点は”Renew-Point”と呼ばれている30種類以上あるといわれる鉄のペン先を首軸にスクリューを回すだけで簡単に交換することができることにある。早い話、シェーファーで言えば”Fineline”や “Tip-Dip”タッチダウンと同じ考え方のものです。エスターブルックの愛好家たちはいろいろな字幅や特殊なペン先を楽しんでる方々とお気に入りのペン本体とペン先にこだわって使っている方々が存在しているらしい……。

さて、個人的な感想だがパーカーやシェーファーなどと比べちゃいけないのだが、万年筆本体（軸）の出来とデザインがあまり褒められたものじゃない。ここではエスターブルックのラインナップをイチイチ説明する気はないが、何やら色が地味で田舎っぽいパール模様の”J-PEN”シリーズ、チープこの上ないダラーペン（1ドルペン）などイマイチ購入に踏み切れなかった。一時期エアロマチックフィラーの”M2″を使っていたがバランスが悪く手が疲れるので結局手離してしまった。数年後、エスターブルックを見直すきっかけとなったのは”J”シリーズの通称「Pastels」と呼ばれている小ぶりなペンに「ショートハンド（速記用）ニブ」を組み合わせものを手にしたときのことでした。この組み合わせでバランスと手が疲れる問題は解決し、これがキッカケでショートハンドニブに目覚めてしまいました。なるほどエスターブルックは軸とペン先を自由に組み合わせて自分好みのペンに仕立て上げることができる楽しみを持っているようです。ちょっと他にありませんよね。「Pastels」シリーズは発色がキレイで50年代アメリカのパステルカラーを上手に表現しており、初期モデルは色が薄めで後期になると濃くなっているようです。その上小ぶりでタッカウェイより小さくてカワイイ。

※タッカウェイとの比較（写真左）とN.O.S.のペン先パッケージ。

一般的にペン先が特殊なものや中字以上の比較的太めの字幅に人気があるようです。ペン先は現在でもN.O.S.状態で売られておりeBayや海外のペンショップサイトで簡単に見つけることができます。価格はおおよそ5～20ドル程度で購入することができ、ペンポイントにイリジウムが付いたマスター・シリーズ(9000番台)が比較的長持ちするらしく人気があるようです。中には高価な激レアのニブもありますが特殊なもの以外は入手は容易です。

私が所持してるのは2本。グレー軸のNo.1555はペンポイントにイリジウムがなく、まるでロールケーキのように先っぽが丸められていてそれがペンポイントの役割をしているようです。イエロー軸はマスター・シリーズのNo.9555を装着しておりどちらもショートハンドニブです。細字好きで筆記スピードが速い方には良いかもしれません。インクの吸入はレバーフィラー式でサックサイズ#16s。メンテナンスは容易で消耗品のインクサックの交換のみ。軸のフィット感とペン先の感触が気に入れば満足感が得られるかと思いますが「鉄ペン」だということをお忘れなく！！

※ボケボケですがNo.1555ニブとNo.9555ニブ。