【パーカー】デンマーク製「ニュー・デュオフォールド」（c.1950s）

公開日： 2015/07/03 : 最終更新日：2018/11/13 01-万年筆紹介, M07-PARKER, N07-デンマーク, s07-エアロ・フィラー式

【Parker】”New Duofold”（c.1950s） Made in Denmark.

今回はデンマーク製「ニュー・デュオフォールド」。ここしばらく同時代の英国製デュオフォールド比較しながらテスト筆記をしていましたが、やはりニブのタッチや字幅がかなり違うことに気づきました。比べてみるとデンマーク製の方が若干柔らかくて字幅が細い傾向にありちょっと繊細な感じがします。同じ商品でも製造する場所や販売するマーケットによって微妙にタッチや書き心地が変わるものなんですね。

※胴軸のインプリント。（写真右）M.I.D. は Made in Denmark の略。

この個体は珍品のようで胴軸のインプリントに「NEW PARKER DUOFOLD」とあり、本格的にペンが量産される前に営業マンがセールス・プロモーション用に持ち歩いていた初期ロットもののようです。因みに量産後のインプリントは以前紹介した記事「デュオフォールドとその仲間たち」のブルー軸のデュオフォールドをご覧ください。

戦前～1960年代中頃までデンマーク製パーカーは（ライセンスを得て）コペンハーゲンにあった「クリスチャン・オルセン（Chr. OLSEN）社」により製造・販売され、商品の一部にはパーカーの名を冠したオリジナルモデルも存在していたようです。インプリントのデザインは戦前～1940年代は「アンカー・マーク（⚓）」、1950年代以降は「M.I.D.」と刻印されているのが特徴です。また、クリスチャン・オルセンの自社ブランド「PENOL」も展開していたようで eBay ドイツや eBay オランダで万年筆やペンシルがオークションに出品されているのを見かけますね。（何だか安っぽいペンに見えますが……）その後60年代中頃にパーカーペンの製造は終了となりますが、90年代初めまでデンマークにおけるパーカーの輸入元として販売・修理などを手掛けていたようです。

※ニブのインプリント「D」がデンマーク製の証。ペンポイントの形状が英国製とは微妙に違うような……（写真右）

※内部は英国製と何ら変わらないエアロ・フィラー式。

ここ最近はすっかりこのペンにハマっています。英国製デュオフォールドの方がガチに感じますが、デンマーク製もまた違った意味でいい感じですね。ペンのディテールは全長がキャップを閉じて約13.1cm、胴軸の直径は約12.5mm。レッド軸の細字で吸入方式は呆れるぐらい丈夫なエアロ・フィラー式。シャーシやペンの重さなどは英国製と変わりありません。少しばかり面白いペンなのでデンマーク製パーカーの捜索を始めようかな？…。