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【シェーファー】豪州製「クラフツマン 52」(c.1960s)”Tip - Dip タッチダウン”

【Sheaffer】”Craftsman 52″ Tip-Dip Touchdown(c.1960s) Made in Australia.

今回は豪州製「クラフツマン 52」をご紹介します。このペンの起源は以前紹介した“Tip – Dip” タッチダウン「カデット & クラフツマン」にあり、後にこのシャーシを利用して金ペン化された派生型が何種類か存在しておりますが本ペンもそのバリエーションの一つです。最初の派生型は1950年代中頃?カナダにて製造・販売された通称「カナディアン・クラフツマン」(正式名は判りません)があります。クリップとキャップバンドに金メッキを施し、当時すでに米国において製造が終了した14k・No.33ニブ(旧クラフツマンのニブ)をTip-Dip化したものが装着されておりました。中々面白い組合せで興味深いですね。私はこのペンを所持しておりませんが、Tip-Dip化されたNo.33ニブだけは持っております。二番目の派生型は比較的ポピュラーなモデルで1960年代初期に米国・豪州にて製造・販売されていた「カデット23」です。こちちらもクリップとキャップバンドに金メッキが施されて、新たにラインナップされた「14k・23」刻印入りのペン先が装着されております。実を言うと「タッチダウン式のインクサック交換」のパステルブルー軸のペンが豪州製カデット23です。今は私の元を離れていきましたが、友人の手によって未だ現役活躍中とのことです。このペンは軽くて扱い易くまた欠点がほとんど無いごく普通の実用万年筆なのですが、私的にはタッチダウン「クラフツマン」の方が好みですね。そして最後が「カデット23」とほぼ同時にデビューした豪華バージョンがこの「クラフツマン 52」です。違いはキャップバンドがワイド化されて「52」刻印入りの比較的大き目のニブが搭載されていることです。前置きが長くなりましたが、先ずは現物の写真から……。

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※黒軸でワイド化されたキャップバンドと胴軸のインプリント。

さて「クラフツマン 52」のディテールですが、サイズや基本的な部分はTip-Dipタッチダウンと全く同じです。最大の特徴は何と言っても「52」刻印入りのペン先にあります。このペン先の大きさは驚いたことに50年代の「タッチダウン・アドミラル」に装着されている「No.5 Feathertouch」ニブに匹敵する大きさがあることです。またそれと同時に50年代の古き良き時代を彷彿させる書き心地とタッチ感があり、チープなシャーシとゴージャス(身の丈以上)なニブのミスマッチな組合せが面白く何だか魅力的で堪らないですね!但しこの独特のタッチ感は性格的に少々尖がったところもあり、人によって「好き嫌い」がハッキリ別れるように思えます。何れにせよ「クラフツマン 52」でしか味わえない少し主流から外れた感じがミソですね。

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※「52」のペン先とキャップのインプリント。

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※Tip-Dip化された「No.33」と「52」の比較。因みに「23」の大きさは「33」とほぼ同じ。

上の写真の通り、「33」ニブと比べると「52」ニブはかなり大きいのが見て取れますね。総じてTip-Dipタッチダウンペンはコストダウン意識が常に見え隠れしておりましたが、ここにきてやっとコストダウン意識が薄れたように思えます。とは言え「カデット23」も「クラフツマン52」も製造から一年程度でフェードアウトしており、やはり本流にはなり得なかったということですね。

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※オリジナルの紙製ケース。

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※オリジナルの取説。豪州から英国へ輸出されたもののようです。

上の写真4点は購入時に付属していたオリジナルの紙製ケースと取説。この度は久しぶりのシェーファー・ペンの紹介に歓喜しており、ちょっと変わった興味深いペンでしたので記事にしてみました。

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