【シェーファー】「90s 復刻版」シリーズ（c.1990s）

【SHEAFFER】“90s Reissue” Series（c.1990s）

90年代復刻版の２つのモデルを紹介いたします。一つは戦前のバランス・モデルの復刻版で「バランス II」、もう一方は60年代のインペリアルⅣやⅧを復刻した「トライアンフ・インペリアル」シリーズです。ヴィンテージというより近・現代に属する万年筆ですね。メカニズム的に文句のつけようが無く、お手軽でメンテナンス性が良く、素材も現代の硬質プラスチックを使用しているのでキズが付きにくく、気軽にシェーファー万年筆を使ってみたい初心者の方などにお勧めのペンです。またカラーリングも90年代らしい色合いであまり古さを感じさせないところも「◎」です。

※↑上から「バランスII（ハンター・グリーン）」（XF）、「トライアンフ・インペリアル・デラックス（ブラック）」（XF）、「トライアンフ・インペリアル・カラーパレット・コレクション（エメラルド・グリーンとカドミウム・イエロー）」（F・M）。

国内では同じ「バランスII」でも18kペン先が付いたマーブル模様の方が人気のようですが、このモデルの14k・ソリッド・カラー軸も悪くありません。使用した感想ですが戦前のバランス・モデルを所持していないので比べることはできませんが、驚くぐらいスムーズでインク・フローが良く、無調整のペン先でここまでカリカリ感の無い極細字（XF）は傑作としか言いようがありません。私的にはNo.1の極細字（XF）です。一方「トライアンフ・インペリアル」ですが、ペン先は60年代の14kではなくスチール・ニブに金メッキを施した仕様（23k）になります。60年代モノと比べてペン先のシナリ具合いが弱くかなり硬く感じますが、極細字（XF）は「バランスII」同様スムーズでインク・フローが良くこちらも調整なしで細い字が書けますね。書いた感じは以前紹介した「ベクスレー」のペン先に似たガチニブ系の鉄の棒のような感じがします。両モデル共にカートリッジ・コンバータ両用式となっており、ディテールのみが30年代・60年代シェーファーという落としどころが上手いですね。

※↑写真左（左からM、F、XF)。写真右は「バランスII」の “LIFETIME” 14kニブ（XF）。

復刻版とは言え、ただディテールをそのままコピーするのではなく使い易さやメンテナンス性に優れ、使われている素材やペン全体の剛性感の向上など良い意味で各所が現代的にリファインされており完成度が高いペンだと思います。一見オリジナルモデルと同じように見えますが中身や筆記時のタッチは全くの別物と考えてもいいぐらいだと思います。私的には大のお気に入りシリーズですね。このモデル以降、如何にもシェーファーらしいペンが発売されておらず、XFがラインナップから外されたりまた販売されているペンのほとんどが金属軸ばかりと最近は寂しい限りです……。ここは一つシェーファーに頑張ってもらいたいところですね。

※↑復刻版を意識してか中押し式コンバータが付属しておりました。もちろんピストン式の現行86700コンバータやインク・カートリッジも使えます。