【バヤール】「スーベレーン 945」(c.1960s)
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最終更新日:2017/02/07
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【BAYARD】”Souverain de BAYARD 945″ (c.1960s) made in France.
バヤールは以前「趣味としての万年筆は持っていないの?①」のところで一度紹介したことがあるのですが、今回はほぼデットストック状態で掘り出した60年代カートリッジ式の「スーベレーン 945」を取り上げたいと思います。バヤールは60年代中頃に万年筆の製造を止めるのですが、その寸前のモデルとなります。全体のデザインはシンプルで良いのですが、それを通り越して何となく素っ気なさを感じますね。まずは写真から……。
※飽きのこないシンプルなデザインだと思いますが、素っ気なさが……。
見た通り40~50年代製品にありがちな個体差によるクオリティのバラつきや手作業感は影を潜め、如何にも60年代の大量生産を前提とした工業製品のように感じます。特徴としてはカートリッジ式で構造的にシンプルとなり日常的に使える実用万年筆になったこと、今までオープン・ニブ一本槍だったバヤールも爪ニブ型のペン先をラインナップしてきたことが挙げられます。しかし反面、バヤールらしさが薄まったことやシンプル過ぎるデザインが気になりますね。全体的なペンの作り込みも中庸でクオリティは決して悪く無く、同時代のウォーターマン・リーニュ60と比べても遜色はありません。バランスもすこぶる良く、軸の直径も細くもなく太くもなく私的には好みのペンですね。
※ペン先は爪ニブ型。
総じて60年代初めのフランス製万年筆はガチニブで(リーニュ60も含め)インクフローは少し渋めで字幅が細めの傾向にあるように感じます。ペン先は爪ニブ型とは言え、オープンタイプ・ニブの両側をプラスチックで押さえているように見えます。見た目通り実用的なガチニブでフローも渋めですが、書き心地やタッチ感は上々でインクが途切れるようなことはありません。よくは判りませんがペン芯に何か秘密がありそうな気がしますね。
※胴軸のインプリント&チョークマークとシンプルなカートリッジ式構造。
ペンのディテールは、カートリッジ式でキャップを閉じて約13.8cm、キャップを尻軸に差すと約15.6cm、胴軸の直径が最も太いところで約11mm。ペン先は18kの爪ニブ型で細めの細字。ペンは軽量でバランスは良く、また取り回しも良好で現代でも十分実用に耐えうるところが気に入っております。60年代のフランス製万年筆はブログ等に取り上げられることが少ないですが、中々の実力派で意外に面白く興味深いところがありますね。
※P.S. 今後少しづつ(メーカーを問わず)60年代製のペンの研究を始める予定です!!
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