【マビー・トッド】インド製「スワン・カデット」 (c.1960s) + EDフィラー式

【MABIE TODD & Co.】”SWAN CADET” (c.1960s) made in India.

今回は1960年代に英国マビー・トッド社のライセンスを得てインドにて生産されていたモデルの一つ「スワン・カデット」をご紹介いたします。実は以前より気になっていたのですが、やっと売り物（激安）が出てたので購入してみました。色々とケッタイなところが多く、クリップが「パーカー・スプリット・アロー・クリップ」ソックリだったり、60年代製にも関らずアイドロッパー式が採用されているなど面白そうな反面、過剰な期待は禁物ですね！因みにペン先はスワンでは珍しいスチール製。まずは写真から……。

※このクリップ・デザインは……？！「SWAN」の刻印が誇らしげに見えます（笑）。

このペンは使用された（インクが通った）形跡が無く、おそらく長期間倉庫で眠っていたように思います。全体的な仕上げについては標準的な60年代プラスチックの質感を持っていて決して悪くはありませんが、細かいところ（例えばキャップとクリップ接合やペン先・ペン芯のマッチングなど）の加工精度・工作精度がアライと言わざるを得ません。それ故に近い将来インクを何回か補充しているうちに多分99％の確率でインクが漏れ出すのは想像に難くないでしょう……？対処法は色々あるとは思いますが怪しいとかヤバイとか言う以前の問題でして、恐ろしくてそのまま使う気にはなりません（笑）。かと言って改造（リバース）するのは不本意ですので、この度は部分的に手を加える程度に留めました。変更点はインクサックを（ニップルっぽい部分に）シェラックで接着し、さらにニップル周辺にワセリンを塗ってインク漏れの予防措置をしてみました。そしてピンセットによる「手動エアロ・フィラー式」に改良してみました。これならいつでも簡単にオリジナル状態に戻すことができますね。長所は抜群のコスト・パフォーマンス、構造的にシンプルでパーツの点数が少ないので分解・組み立て・洗浄が容易なところは「◎」です。

※「手動エアロ・フィラー式」に改良。

※パーツの点数が少なくシンプルな構造は良いのですが、加工精度はイマイチかな。

ペンのディテールは、グレー軸で全長がキャップを閉じて約13cm、胴軸の直径が最も太いところで約11mm強。キャップを尻軸に差すと全長が約14.8cm。ペン先はフレックス無しスチール製ガチガチの細字。細字と言っても極細字に近い感じですが、意外にも動きがスムーズな上にカリカリ感や引っかかりも無く、日本語（ひらがな・カタカナ）が書き易いので少々驚いております。全体的なクオリティは英国製スワンに遠く及ばず、ヴィーナスやウェアエバーあたりのベーシックなペンと同等といったところでしょうか……。正直、軽すぎてチープ感がビシビシ伝わってきますがバランスは悪くありません。

※スチール製ニブとしては上デキの方ですね。右は消えかかっているインプリント。

さて、ポジティブ・ネガティブ両方を合わせ持つ不完全なブツですが初めて購入したアイドロッパー式でもあり、私的にはコスパの良さと面白さ・物珍しさ、そして冒険という点では十分満足しております。ただ今回の改良が吉と出るか、或いは凶と出るかは今後のお楽しみということで……。評価は皆さんの感性にお任せいたします！！