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【ウォーターマン】英国製「 L5 」(c.1950s)

公開日: : 最終更新日:2017/01/09 01-万年筆紹介, 05-ペン先, M05-WATERMAN, N02-英国, s04-レバー・フィラー式

【Waterman】” L5 ”  Made in England.(c.1950s)

今回は50年代英国製ウォーターマン「Lシリーズ」のフラッグシップ「L5」を紹介します。当時の英国製ウォーターマンのメイン・ストリーム・ライン(おそらく米国での会社倒産以後)はオーソドックスな外観デザインを持つ「Wシリーズ」と新しくC/F風デザインを取り入れた「Lシリーズ」の2つのタイプが製造・販売され、それぞれのシリーズ下にエントリーレベルの「W2、L2」、ミッド・レンジの「W3、L3」、そしてフラッグシップの「W5、L5」というラインナップで構成されておりました。こと「Wシリーズ」については「515、513(503)、512(502)」のモデルチェンジ版ではないかと考えております。まずは写真から……。

waterman_L5_001 waterman_L5_002

※ブルー軸でそれなりの貫録がある「L5」。

外観デザインはC/Fでおなじみの「Vクリップ」、キャップは三重リンクが奢られて「L2」より胴軸が太いなどの特徴があります。こと貫録やオシという点では「W5」に負けているものの、その分カジュアル感やポップ感があって好感が持てます。書き心地やタッチ感はほぼ「W5」を同じで本当に外観のデザインだけ違うという程度ですかね?!インク・フローはケチの付けようが無いぐらい良いし、バランスも中庸で欠点らしい欠点はありません。極々普通で日常的に使える実用万年筆です。この時代になると英国製プラスチックの品質が向上し、製品のクオリティが安定しはじめたのが見て取れますね。下は「L5」と「L2」と比較した写真で胴軸の直径以外はほぼ同じように見えます。

waterman_L2_L5_01

※デザインは共通しておりますが、共に軽快感がありますね。

次にペン先ですが本来なら「L5」シリーズには「W5、NW5」といった刻印が入っているニブが付いているのが鉄板なんですが、複数の英国人セラーさんやコレクターさんたちの情報によるとこのペンが発売された当初、当時在庫として余っていた「515」の後期型ニブ(「ENGLAND」刻印が省かれたNo.5ニブ)と新設計されたペン芯を組合せて販売していたようです。私はその組合せの存在すら知らず(笑)に購入してしまいましたが、どうやら下の写真がそれのようです。そしてそのニブの在庫が無くなった時点で順次「W5、NW5」ニブへ移行していったとか……。「じゃ~、レア度はどうなの?」と聞いたら「ど~てこと無い」とのこと(笑)!!但し「515、W5、L5」はニブやペン芯に互換性があるため、あくまでもオリジナル状態にコダワルのであれば購入する上で注意が必要とのこと。よくある例として「515」に「W5、NW5」ニブが付いたもの、あるいは「W5、L5」に「ENGLAND刻印のある初期型No.5」ニブが付いたものやペン芯が「515」と同じ「ノッペリ・タイプ(フィンやスリットの無いペン芯)」が付いているものは時代考察的には有り得ないようで、後になってニブやペン芯がリプレイスされた可能性が高いということらしいです。(信憑性は……?!)これは詐欺とかニセモノ・イカサマといったレベルの話ではなく、英国人気質による「壊れたら直す」ということに起因しているように思います。

waterman_L5_003 waterman_L5_004

※「ENGLAND」刻印が省かれた後期型No.5ニブと新設計のペン芯の組合せ。

ペンのディテールはキャップを閉じて全長約13.5cm、胴軸の直径が約11.5mm。吸入方式はレバー・フィラー式。字幅はセミ・フレックスの中細字程度で中字ほど太くないので扱い易いところが「◎」です。ニブの特徴は「前期型No.5ニブ」より少し柔らかく、「W5、NW5」よりは少し硬い感じがしますね。ペンはすでにレストア済みで特に動作に問題はありません。構造やインクサック・サイズは「W5」と同様。

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※胴軸のインプリントとC/F風に斜めカットされた天冠。

少々長くなりましたが、話の信憑性はともかくネタにどうぞ!!シェーファー同様、英国製ウォーターマンも中々興味深いですね!!

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