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【シェーファー】「スノーケル」(c.1952-59)《10/1 一部記載訂正》

【SHEAFFER】“Snorkel” (c.1952-59)

スノーケル・ペンの書き味や書き心地の優秀さや素晴らしさはすでに多くの万年筆愛好家&コレクターさんたちがブログに感想を綴っておりますのでそちらを参考にされたほうが良いと思います。私も同様にこのペンの良さを認めており特に字幅が細いところが気に入っております。この度はレストアの側面から見たスノーケルについて私なりの考えと感想を書こうと思います。スノーケル・ペンはご存知のようにやたらパーツ点数が多くメカニズムも複雑怪奇な上、微妙な調整も必要であり簡単に修理・調整ができません。またレストア後メンテをこまめにしないと使用後数年で確実にガラクタになってしまいます。いろいろな意味で手間がかかることを留意しなければなりません。レストア好きには治し甲斐のある面白いペンですが、消耗品などリプレイス可能なパーツが劣化している場合は交換・調整することで解決できますが、パーツそのものが破損あるいは無い場合はどうにもなりません。特に低価格で売られているものにパーツが破損あるいは無いなど問題を抱えたガラクタが多く、例えばサックプロテクターからインクサックを取り出す時に無理矢理ペンチか何かを使ったのかサックプロテクターの先端の金属部分がめくれているものやニップルが破損しているもの、スノーケル・チューブが無い、あるいはチューブにヒビが入っているものや内部が破損しているもの、それと意外に多いのは尻軸とTD管(圧搾管)をジョイントしているビスが破損しているなどです。これらは基本的に修復不能であり、何か一つでも該当するパーツがあると動作不可能となります。方法としては別の壊れたスノーケル・ペンより部品を調達するなどのやり方はありますが、思い通りに必要としているパーツが手に入るとも限りませんし、レストアを終えたペンが結果的にニコイチ・サンコイチとなってしまい私的には「これって、どう~よ?そこまでしてやる必要があるのか?」と疑問に思っており、また一本のスノーケルを完成させるために何本かのスノーケル・ペンがパーツ取りの犠牲になることに躊躇しております。いくら大量生産されたとはいえ資源(ペン)には限りがあり、やがてはどこかの時点でパーツが枯渇するのが目に見えております。マぁ~モノである以上仕方ないことだと思いますが、現実的にPFMの取引価格やそのパーツ価格を見ているとそんな気がします。そこで私なりに出した結論はパーツの流通・在庫とノウハウをキッチリ抑えている経験豊富なプロのレストアラーに任せた方が良いのではないかと思い、消耗品の交換やメカニズムの調整はしていますがこれ以上スノーケル・ペンのレストアはやらないことにしました。スノーケルのレストアに興味のある方は本記事下部に情報のみを掲載しましたのでそちらを参考にしてください。そして私がスノーケルについてに語るのはおそらくこれが最初で最後だと思います。以下、私が所持しているスノーケル・ペンですが幸いにもパーツの欠損・破損が無かったので何とかレストアを終えることができました。ただ最近全く使っておりません。私の手にはちょっと細長い感じがします。

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※写真上・左側より「スノーケル・アドミラル」(ブラック)、「スノーケル・ソボリン」(バックスキン・タン)、「スノーケル・ステイツマン」(パステルグリーン)、「スノーケル・ステイツマン」(バーガンディ)、「スノーケル・クリッパー」(パステルブルー)、「スノーケル・クレスト」(パステルグレー)

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※写真左側より、14k・No.5 オープンタイプニブ(XF)、14k・ツートーンパラジウムコートオープンタイプニブ(XF)、PdAgトライアンフニブ(ショートハンドニブ)、PdAgトライアンフニブ(F)、PdAgトライアンフニブ(XF)、14k・ツートーンパラジウムコートトライアンフニブ(アカウンタントニブ・カナダ製)

私的にはPdAgトライアンフニブが一番のお気に入りですね。

❏スノーケルレストア参考情報

★リプレイス可能なパーツ(消耗品)……インクサック(#14 or #14 1/2)、Oリング、ゴム製ガスケット、ゴムスプリング。

★スノーケル以外から転用可能なパーツ……キャップ(TMタッチダウンとサイズ的には同じですが、組合せに注意が必要です)。

★スノーケル専用パーツ……ペン芯、スノーケル管(2種類あり)及びニップル、サックプロテクター、首軸・胴軸。

※TD管及び尻軸はタッチダウン式とは部品の形状が違うようでした。訂正します。10月1日。

パーツの転用でよくある方法としては、ソケットや台座を失ったデスク・ペンを利用するやり方があります。デスク・ペンはペン先やボディが傷んでいるものが多い反面、内部パーツが欠損している例はあまり無く手持ちのペン(レストアのベースとなるペン)にデスク・ペンの内部メカニズムをそっくり移植するというものです。この方法はスノーケルに限らず、タッチダウン式やカートリッジ式でも移植可能なためポピュラーなリサイクル方法の一つと言えます。私的にはこの方法が「ギリギリセーフ」かなと考えております。と言うことで、スノーケルのレストアはリスクが高いので避けるという勇気ある決断も有りかなと思っております。

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