【パーカー】フランス製「デュオフォールド（NS ショート?）」（c.1947-49）+レストア編

【Parker】”Parker Duofold (NS Short Size?)”（c.1947-49） Made in France.

久し振りにパーカーペンを取り上げます。今回は以前、フランス製「デュオフォールド（NS シニア?）」（c.1947-49）+レストア編のところで少し触れておりますが、同じ頃に販売されていた「ショート・サイズ・バージョン」をご紹介します。しかしペンの正式な名称は不明であり、そもそも「Duofold（デュオフォールド）」という刻印がどこにも見当たりません。このショート・サイズ・バージョンは胴軸の太さが違う2種類のバージョンが存在しているのですが、この度のブツは胴軸の細いタイプ（11mm）の方でした。先ずは写真から……。

※何ともシンプルで控え目な外観と胴軸のインプリント。軸色はブルゴーニュ。

■レストア編

極々コンベンショナルなボタン・フィラー式ペンですので、レストア方法は以前紹介した「米国製パーカーV.S.」や「アッカーマン」のページをご参照ください。但しニップルの直径が6mmで本来ならインクサックサイズは#15サイズですが、ショートサイズ故にインクの吸入量は知れておりますので、ここは吸入スピードを上げるためワン・サイズ下げて#14サイズを使うことにしました。因みにプレッシャー・バーは62mmタイプが付いておりましたが、比較的状態が良いのでそのまま使うこと（下の写真参照）にしました。外観は胴軸の尻軸側にキャップを差した跡や首軸側にスレキズなど少々クタびれた部分もありましたが、パーツの欠損・欠品や汚れも無く概ね良好でした。レストア後は特に問題も無く快調に動作しております。

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※インクサック・カット前と装着後。サックは#14サイズ。

■ディテール

ペンの詳細は全長がキャップを閉じて約11.5cm、キャップを尻軸に差すと約13.5cm、胴軸の直径が約11mm。特筆すべき点はペンの重さが異常に軽いのに不思議とチープ感が無いところですね。ペン先はフランス製ですので18K仕様、フレックス無しの若干細めの「中字」程度の太さで紙当りは柔らかいもののクセが無く扱い易いタイプです。またニブとペン芯のマッチングが良いのでペン先周りの剛性感が高く、小さなニブにもかかわらず比較的しっかりした書き心地が特徴ですね。トータル的に見て設計自体も無難で無理が無く、デキの良さにちょっと驚いております。

※かなり小さなニブですが、剛性が高くパフォーマンスも悪くありません。

最後にこのペンを一言で言うと、ペンの重量（軸やキャップ）がまるで空気のようにメチャクチャ軽いのにペン先周りにだけ重さを感じるところにあります。こういった異質なタッチ感がある半面、不思議と違和感を感じさせない巧妙さと面白さを楽しめるペンですね！以上、フランス製NSショートサイズ・ペンの感想でした。ご参考にどうぞ。