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【ウォーターマン】英国製「 W5 」(c.1950s)+マニフォールド・ニブ

【Waterman】” W5 ” + Manifold nib(c.1950s).  Made in England.

Waterman 515の記事のところで 「不遇の時代のウォーターマン万年筆の紹介はいったん終了します」などと言ってしまいましたが、まだ舌の根が乾かぬうちに再度50年代のウォーターマンを紹介することになりました。先月、約10年近く探し続けていた「W5 マニフォールド・ニブ」が装着されたW5モデルを遂に発見・入手することができました。一般にW5ニブはセミフレックスやフレックス系(ペン先にW5やNW5と刻印があるもの)の弾力とシナリを感じるペン先が標準的なんですが、このニブは当時オプション設定されていたペン先の一つで、このシリーズ唯一のガチニブ系ペン先だったようです。まずは写真をご覧ください。

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※大型のペン先と50年代以降導入された二重スリットが入ったペン芯。

筆記時のタッチは、一言でいえば「少し字幅が太いシェーファー・ステイツマン(FAT)」って感じですね。ステイツマンより軽くて軸の直径が少し太いのでよりコントロールし易くなったのと若干安定感が増した感じがします。但しガチニブ度はほぼ同じくらいですかね。興味深いのは以前紹介した「カナダ製W5」とはインクの出方もニブの弾み方も性格がまるで正反対のようで外観は似ているものの、ほぼ別物のペンといっても過言ではないように思えます。そしてこの時代特有のウォーターマン万年筆の面白さと醍醐味が味わえるところが気に入っております。

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※首軸はエボナイト製のようです。ヤケてますね……。

購入時は決して良い状態だったとは言えずかなり手をかけてやりました。シャーシやペン先の洗浄に2日、レストアに1日、ペン先の調整に半日を費やしてやっと上記の写真のレベルまで磨き上げました。特にキャップ内部に付着していたインクの洗浄には手こずらされましたね。おそらく記憶に残るほど手間と時間をかけて仕上げたペンの一本になりました。まァ~、リペア・レストアを十分楽しんだので個人的には大満足しておりますが…。

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※内部も徹底的に洗浄しました。最近はインクサックの長さを短めにしております。

ペンのディテールは全長がキャップと閉じて約12.8cm、胴軸の直径が約11.5mm。レバーフィラー式でインクサック・サイズは#16。スペック的には「515」に近く重さは「515」より軽く、長さは「カナダ製W5」より少し短いですね。適度なサイズ・重さで実用度も高いうえに扱い易く、各パーツのクオリティも上々で中々デキの良いペンに仕上がっています。ザックリ言えば「515」の進化版って感じですかね。下の写真は「カナダ製W5」と比較したもの。こうして見ると「カナダ製W5」は意外に大柄ですね。

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※キャップを尻軸に差すと「カナダ製W5」はさらに長くなります。

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