【エスターブルック】「J – Transitional」＋分解編（c.1940s）

【ESTERBROOK】”J-Transitional” + Linton nib (1940s)

エスターブルック「LJ」より一世代前の「トランジッショナル（Transitional）」モデルを紹介します。ペンの特長は「LJ」より胴軸が太くて全長が若干短く、キャップの天冠のみにジュエル（シングル・ジュエル）が付いています。シェーファーで言えば「FATモデル」みたいな感じですね。構造的にはほぼ「LJ」と同じですが重厚さと重さがあるので1000番台シリーズのペン先だと見た目が貧弱なのと、書いていてもどことなく頼りない感じがするので2000番台か9000番台の大きなペン先の方がバランスが良いと思います。と言うことで今回はリントン・ニブにしてみました。書き心地ですが胴軸が太く、それなりに重さもあるので「LJ」より安定感が増した感じがします。ちょっとエスターブルックのペンとは思えない程質感がイイです。14kペン先が欲しいぐらいです……新たな発見ですね。

※↑中々の質感と重厚感があります。

この「トランジッショナル（Transitional）」モデルは何度かマイナー・チェンジをしており、この個体はクリップに「ESTERBROOK」の刻印があり胴軸のインプリントが「Esterbrook」のみで「®」が無いことなどから最終バージョンではないかと推測しております。デザイン的には次世代の「LJ」に近い感じがします。残念なのは私好みのソリッド・カラー軸が無く、あるのは今回購入した黒軸とナース・ペンの白軸のみという寂しさ……。もっとカラフルな軸色があればなぁ～、本当に惜しいです。

※↑クリップの刻印と胴軸のインプリント。

さて、ペンのコンディションは悪くなかったものの軸・キャップ共に表面に無数の浅い擦れキズがありましたので思いっきりコンパウンドをかけてみました。そこで可能な限りペンを分解してみました。以下の写真（左側）を参照してください。

※↑胴軸内部にある「J-BARとレバー」以外は可能な限り分解してみました。（写真左）と「リントン・ニブ」。

ペンのディテールはレバー・フィラー式で全長はキャップを閉じて約12.5cm、胴軸の直径約12mm。インクサックサイズはエスターブルック標準サイズの#16s。ペン先交換もスクリュー式で「LJ」や「SM」と同じで純正品・互換品共に使用可能です。機能的・構造的に全く問題が無く、これだけの貫録があるのに鉄ニブのみというのが惜しい……、14kニブが無いのが惜しい……、カラフルなソリッド・カラー軸が無いのが惜しい……。私的にはいろいろと物足りない部分が多いペンでした。