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【パーカー】フランス製「 “17” レディ・カスタム 」(c.1960s-70s)+オープン・ニブ

【Parker】”17″ Lady Custom(c.1960s-70s)<Open nib> Made in France.

今回は60年代に登場した「パーカー17・レディ・カスタム(フレンチ・バージョン)」を取り上げます。「パーカー17」と言えば様々なバリエーションがあるものの、一般的に英国製でフーデット・タイプ・ニブを持つメイン・ストリーム・ラインよりやや下あたりの廉価版~普及版クラスの製品イメージがありますが、このペンはオープン・ニブを搭載したフランス製のゴージャスなレディース・モデルという位置づけだったようです。まずは写真から……。

  

※パーカーらしい均整の取れたフォルムですね。(エアロ・フィラー式)

50年代にもこれと似たエアロ・フィラー式の「デュオフォールド・レディ」という小型なペンが製造・販売されておりましたが、英国モノはフーデット・タイプのペン先が搭載されていたものの、フランス版「デュオフォールド・レディ」はやはり今回同様オープン・ニブのモデルが存在しておりました。何故かは詳しくわかりませんが、大陸ヨーロッパ諸国では「フーデット・タイプのペン先があまり好まれなかった」というような記事を海外のブログで何度か見かけたことがあります。(真偽の程は……?)この度はペンのレストアなど考えず純粋に万年筆として興味がありました(はっきり言えば「リーニュ60・レディ+金張りキャップ」と書き比べがしたかった)ので購入してみました。最初の印象はチープ感バリバリなタッチを想像しておりましたが、イヤイヤどうして……大したモノでしたね。

 

※胴軸にインプリントやモデル名は無く、キャップ下部のみに刻印があります。

ペンが到着してまず驚いたのは、製品の質感レベルがとても高くて手抜き箇所などは無くチープ感は微塵も感じませんでした。またフレンチ・パーカーの定石でもある軽さはここにはありませんでした。特に金張り仕様のキャップについては重さを感じることができるクオリティ・レベルです。さらにキャップを尻軸に差して試筆するとキャップのトップ・ヘビー感さえ感じられます。書き心地は上品さを備えた紙当りの柔らかい優雅なタッチがイイ~ですね。このペンを持つと「早書きはヤメろ、ゆっくりと書け!」と言われているような気がしてなりません。何だか普段の時間軸や空間軸とは明らかに違う流れが漂います。何か必要に迫られて何かを書き始めるので無く、むしろ自分自身が思うことや言いたいことなどを時間をかけて書き綴ること(作家さん的な……)に向いたペンのような気がしますね。私的にはこのような「上質さと鷹揚さ」をまだ理解できていませんが……。と言うことでこのペンを仕事で使うことを諦めました。さてペン先はフレックス無しでシナリや柔らかさは無いものの、インク・フローがほど良く抑えられており中字より若干細めの字幅がイイ感じです。全体的に造りも丈夫で(60年代に入りパーツの製作・工作精度が上がったことに起因していると思いますが……)扱い易く、構造的・機構的にも安定していますので使用する上で特に注意すべき点はありません。

 

※フランス仕様のゴージャスな18kペン先。中字でフレックス無し。

ペンの詳細は全長がキャップを閉じて約12cm、キャップを尻軸に差すと約13.1cm、胴軸の直径が約10mm弱。吸引方式は信頼性の高さと丈夫さが売りのエアロ・フィラー式でペン先は18kのフレンチ・バージョン、キャップは18k金張り(DOUBLE OR LAMINE)仕様。キャップ自体に重みがありキャップを尻軸に差して試筆するとトップ・ヘビー感を感じますが、思ったほどバランスは悪くありません。ただ、胴軸が細い(10mm以下)ので私の手には少々辛い側面があります。それ以外は上々で特にキャップを閉めたり尻軸に差したときのフワッとした質感は本当に上品で優雅ですね。また「リーニュ60・レディ+金張りキャップ」との書き心地比較についてはこれから始めますので、いづれどこかのタイミングで記事にしたいと思っております。今回は以下の比較した写真のみを掲載させていただきます。ご参考にどうぞ!

  

※「リーニュ60・レディ+金張りキャップ」との比較。ニブの大きさはほぼ同じですね。

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