【パーカー】デンマーク製「パーカー V.S.」（c.1940s）+マイ・コレクション（9/13追記）

公開日： 2017/04/28 : 最終更新日：2017/09/13 01-万年筆紹介, M07-PARKER, N07-デンマーク, s06-アルミ二ウム・フィラー式

【Parker】”Parker V.S.”（c.1940s） Made in Denmark.

これまで様々な国々で製造された「パーカーV.S.」を取り上げてまいりましたが、最後のシメとしてデンマーク製V.S.をご紹介いたします。しかしこのデンマーク製V.S.については情報量が少ない上に説明には少々厄介で煩わしく、また一部憶測の部分もありますのでその辺りを割り引いて読んでみてください。先ずは写真から……。

※デンマーク製を示す刻印が一切無く、キャップ（クリップ）も2種類あるようです。

上の写真通りクリップ（テーパータイプとアロータイプ）のデザインが違う2種類のキャップが存在しております。これを単純に前期型・後期型と区分けする見方とアロークリップ・タイプのキャップはオプション若しくは（最初或いは途中から）併売されていたのではないかという見方の二通りの意見・見識があるようです。いづれにしてもこれを確かめる決定的な情報や確証はありませんので真偽の程は不明ですね（ただ米国製V.S.にも「アロータイプ・クリップ」が存在しているようです）。このペンを購入した時（アロークリップ・タイプの方）はパーカーの他モデルのキャップを差し変えただけのフランケン・ペンでは？と思い、1950年前後～60年代にかけて発売された色々なモデル（51、41、21、VP、61、65など）の金張りキャップを調べてみたところ、上の写真と同じデザイン・キャップを採用している他のモデルを見つけることができなかったので、おそらくV.S.専用キャップだと思っております。以下、私が把握しているデンマーク製V.S.の特徴を挙げてみます。

★胴軸やキャップにデンマーク製を示す刻印が無い。しかし一部のスカンジナビア向けモデルにはクリスチャン・オールセンのロゴ・マーク（⚓）が刻印されたブツも存在します。

★決定的な違いはキャップを閉じた状態で全長が約13.6cmで他国製V.S.モデルより約4mm程度短いです。但しキャップの大きさ・長さは同じです。（下の写真右を参照）

★「バーガンディ」の軸色は米国製にはありません。フランス製とデンマーク製に限って存在しておりますが、インプリント無しでも全長が米国製と同じ（14cm）であればフランス製、短かければ（13.6cm）デンマーク製となります。

★金張りキャップの場合は、キャップ下部に英国表記の「ROLLED GOLD」の刻印が入っております。（下の写真中央を参照）※米国表記の場合「Gold Filled」になります。

★ペン先は14ct（14k）「NGI製」のものが搭載されています。

※キャップの刻印とペンの全長比較。キャップの大きさや長さは同じのようです。

補足として1949年頃にV.S.の生産は終了しますが、デンマーク製に限ってはエアロ・フィラー式に改良されたV.S.が1950年以降も生産・販売が継続されておりました。こちらは以前のモデルと区別するため「NEW PARKER V.S.」と呼ばれております。（実際、胴軸に「NEW PARKER V.S.」と刻印されております。全長は同じく136mmです。）

※ペン先はデンマーク製定番の14ct（14k）NGI製。アルミニウム・フィラー式ですね。

■ディテール

ペン先は14ct（14k）仕様のNGI製。字幅はF（細字）～FM（中細字）程度のフレックス幅の狭いタイプで「フランス製V.S.」より少し柔らかく、ニブがより開きやすい傾向にあるものの扱い易く、またペンを持った感じも他国製V.S.とほとんど同じで違和感も感じませんでした。これまた他国製V.S.とエッセンスやタッチの違いはありますが、やはり全く別物のペンのように仕上がっているところが面白いですね。ペンの全長は約13.6cm、キャップを尻軸に差すと約15cm前後、胴軸の直径が約11.8mmとペンの長さ以外は他国製V.S.と全く同じスペックです。話しは変ってパーカー・ペンは全体的に製造した国やモデルによってスペックやディテールの違いが細かく、色々調べてみないと判らない点が多いような気がします。結構煩雑で面倒な側面もありますが、紹介するだけの価値があるペンが多いのも事実ですね。このペンに興味のある方は是非ご参考程度にどうぞ！！

■レストア済み「V.S.」コレクション