【パーカー】カナダ製「デュオフォールド」（c.1948-50）+分解レストア編

【Parker】”Duofold”（c.1948-50）Made in Canada.

メーカーを問わず1940年代～50年代にかけてカナダ国内向けに製造されたペンには奇妙な組み合わせのものや良い意味で珍妙なデザインのモデルが多々存在しておりますが、今回ご紹介する「（通称）カナディアン・デュオフォールド」もそういった類の一つです。以下、写真の通りでズバリ言えば「パーカーV.S.のプラスチック・キャップ・バージョン」のように見えます。それを「デュオフォールド」という名を冠している辺りが流石パーカーと言うべきか……いやはや何とも……面白いですね！

※グレー軸で首軸はバイカラーのブラック。金メッキっぽいクリップとリング。

■分解編

ペンを分解してレストアしてみると、基本的には「パーカーV.S.」と全く構造は同じのようですがボタン部分の形状に若干違いがあります。66mm汎用プレッシャーバーが使えませんでした。おそらくボタン内部の空洞（リーチ）が深いのが原因のようですね。仕方ないので70mm程度のプレッシャーバーをとりあえず装着してみましたが、少々反発力が強くインク吸入時に力が要ります。この辺は仕方ないのかなと思いつつも動作や筆記に問題はありませんのでこのまま使用することにしました。（ボタン部分の調整を行った結果、66mm汎用プレッシャーバーが使えるようになり、快適に動作するようになりました。訂正します。12月9日）ボタンは米国製や英国製のものと比べると直径や長さなどの違いがありますので扱いには注意が必要ですね。ニップルの直径は約6.5mmで「パーカーV.S.」と同じですのでインクサックは#16sサイズ（ストレートタイプ）を選択しました。こちらは問題なしです。

※分解写真と面白い胴軸のインプリント。

■ディテール

先ずはペン先周りですがカナダ製パーカーのニブ情報は全く持ち合わせおりません。ペン芯については特に変った様子も無く極々普通な感じですが、下の写真の通りニブの「・56・」に何の意味があるのかは判りません。ニブはデンマーク製の少し柔らかめのセミフレックス・ニブと比べると対極の位置にいるかのように硬くてフレックス無しタイプのようですね。また字幅はXF（極細字）のようですが、パーカー製でこれほど細い字が書けるとは……うれしい驚きと感動でした。実に面白く興味深いですね。

※結構好みの硬さのニブとパーカーにしては異常に細い字！？

ペンの詳細は全長が約14cm、胴軸の直径が約11.8mmで「パーカーV.S.」とほぼ同スペックです。キャップの差さりも「パーカーV.S.」同様に深いのでキャップを尻軸に差すと全長が約6インチ（約15cm前後）となります。違いは重さのみでキャップがプラスチック製なのでその分軽く仕上がっていますが、どちらかと言うと「カナディアン・デュオフォールド」の方がペン全体のバランスが良いように思えます。また見た目は若干チープ感がありますが、質感・仕上がり・適度な重量感など上々で十分「デュオフォールド」の名に値する内容となっております。このようにカナダ国内向けのモデルには一捻り・二捻りしたものが多くいつも興味をソソられますね。何れにせよパーカーの主流から逸脱したタッチ感と予想外のテイストがとても上手に融合しており、その上これと言った欠点もなく魅力的なデキの良いペンだと思っております。以下、「パーカーV.S.」との比較写真です。ペン先は「パーカーV.S.」の方が一回り大きいようです。ご参考にどうぞ！！

※ほぼスペックは同じのようですね。