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【パーカー】デンマーク製「デュオフォールド NS」(c.1946-48)+分解レストア編

【Parker】”Parker Duofold NS (New Style)”(c.1946-48) Made in Denmark.

今回はデンマーク製「クリスチャン・オールセン」プロダクトによる「デュオフォールド NS(New Style)」のディテールと分解レストアをご紹介いたします。一般的な評価として丈夫さ・タフさがウリのU.K.デュオフォールド・シリーズですが、唯一このデザインだけは「イイ~かな~」と思えるところが私的に大いに気に入っております。西欧風に言えば、非常にグッド・ルッキングなスタイルを持つとてもハンサムなデュオフォールドですね。

  

※ダブル・ジュエル仕様の天冠と尻軸。胴軸のインプリントと(⚓)マーク。

■英国製とデンマーク製の外観上の違い

基本的なサイズや大きさについてはほぼ同じですが、決定的な外観の違いは英国製のスタンダードな「アロー・クリップ」に対してこちらは「スプリット・アロー・クリップ」が採用されています。(p.s.=英国製と同じ「アロー・クリップ」タイプもあります)また天冠と尻軸ジュエルの色が英国製の「黒」に対して「濃いグレー」が付いており微妙な違いがあります。どちらかと言うと(写真はありませんが)英国製の黒色ジュエルの方が引き締まった感じに見えるようです。

 

※スプリット・アロー・クリップとダーク・グレー・ジュエル。

■分解レストア編

下の写真の通り極々コンベンショナルなボタン・フィラー式構造となっており特筆すべき点は無いのですが、プレッシャー・バーだけは74mmタイプで普通より少し長いタイプのものが採用されています。この74mmタイプは少々厄介モノで汎用品が無く、リプレイスする必要がある場合は同サイズのものを探すか、あるいは84mmタイプの汎用プレッシャー・バーを加工(カット)して取り付けなければなりません。いずれにしてもオリジナルのプレッシャー・バーが使えなかったり、無かった場合はそれなりの覚悟が必要となります。ここが唯一の注意点ですね。なおボタン・フィラー式のレストアについては過去に紹介した「米国製パーカーV.S.」「アッカーマン」のページをご参照ください。基本的な構造や作業工程は同じですが、インクサック・サイズは少し太目の#17sを使用します。

※極々普通のボタン・フィラー式ですね。

■ディテール

ペンのサイズはキャップを閉じて約13.2cm、キャップを尻軸に差すと約15.2cm、胴軸の直径が約12mm強。ボタン・フィラー式でペン先はフレックス無しの「細字」。ガチ系ですがパーカーらしい紙当りの柔らかさは健在ですね。またキャップバンドはシェブロン模様の14k金張り仕様で一部にブランク・スペース(下の写真参照)があり、このスペースにイニシャルなどの刻印が可能だったようです。特徴的なのはペン全体のバランスが良く軽量に仕上がっている点ですね。取り回しが楽で安定した書き心地感が「◎」です。結論から言うとこれといった欠点が無いので実用万年筆としてはかなりデキの良いペンだと思います。ここら辺は流石パーカーって感じでソツなく仕上がっており、使えば使うほど非凡さに感動しております!う~ん、これ結構キテるね~~!!

 

※お馴染みのシェブロン模様と珍しいブランク・スペース(写真右)。

 

※デンマーク製ニブ。NGIロゴ・マークが半分首軸に埋まっております!

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