【ウォーターマン】モデル名不詳（フランス製・レディース）（c.1940s-50s）

【WATERMAN’S】”Unknown Model Ladies FP” (c.1940s-50s) made in France.

本年最後の更新はウォーターマン・モデル名不詳のフランス製レバー・フィラー式レディース・ペンの紹介です。製造時期はおそらく1940年代～50年代頃と思われます。何ともレトロチックなデザイン、使い倒されて使用感バリバリのコンディション、それでいて各パーツは意外にも状態が良い上に欠損も無い如何にも私好みなレストア冥利に尽きるペンでした。到着時はインナーキャップとペン先・ペン芯に付着したインクの汚れが酷く、アスコルビン酸やロットリング洗浄液を使って洗い流すこと3日かかかりましたね。（笑）手間はかかりましたが、マズマズのデキ上がりで中字嫌いな私でも使用頻度は結構高く、意外に気に入っております。

※グレー軸でレバーとキャップはスチールですが、部分的に金メッキの痕跡が……。

ペンのデザインは同時代の米国製「レディ・ガーランド」のフランス製廉価バージョンと言ったところでしょうか？キャップはスチールに見えますが、かつては金メッキが施されていた痕跡が見受けられます。構造的にはこの時代のウォーターマン固有のオーソドックスなレバー・フィラー式であり、例のごとくレバーもJバーも呆れるぐらい丈夫なところが「◎」ですね。ディテールのほうは18kセミ・フレックスタイプの中字ペン先で極端な柔らかさはありません。全長はキャップを閉じて約11.3cm、胴軸の直径が約10mm。私が所持しているウォーターマンのペンの中でも最もミニマムなサイズです。また、この時代のフランス製ウォーターマンの特徴としてキャップがスリップ・オンタイプにもかかわらず首軸にミゾ（スリット）が彫り込まれているものを多々見かけます。さらにペン芯が他国製のものと違い独自形状のものになります。ちなみにサックサイズは#15s。

※首軸のミゾと特長的な形状のペン芯。

※サイズの比較。写真上から「リーニュ60レディ」、「エスターブルックCH」、本ペン、「シェーファー・タッカウェイ」。

さてさて、このペン先ですがどこかで見たような……。ペン先のインプリントは「リーニュ60レディ」のものと酷似（同じ？）しておりますが、結論から言えば微妙にニブの形状は違うようでした。下の比較した写真をご覧ください。

※インプリントはほぼ同じ、でも形状は違う……!？

こういった一風変わったモデルのウォーターマン・ペンは米国、英国、カナダでは見かけることはあまり無く、ヨーロッパ大陸のフランス・オランダ・ベルギー・デンマーク・ドイツなどで掘り出される傾向にあります。ことウォーターマンに関してこれらの地域でまだまだ未発掘なペンがザクザクありそうな予感がしますね。

今年も拙いブログにお付き合いしていただきありがとうございました。来年もアトラクティブなペンを紹介していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。良いお年を！！