【シェーファー】「コンパクト I 」(c.1961-62)
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最終更新日:2017/01/09
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【SHEAFFER】“Compact I ” (c.1961-62)
数年前にこの「コンパクト I 」を購入して以来ず~と引き出しの中に眠っていたのですが、半年前ぐらいから持ち歩き用ペンとして使い始めました。このペンの特長はキャップを閉じると全長が約12cmの文字通りコンパクトサイズのペンなんですが、キャップを尻軸に差すと全長が約14.5cmのスタンダードサイズ・ペンに変身するという離れ業をもっていることですね。これには実際使い始めて流石に驚いたのと設計の巧妙さに感心しました。実にシェーファーらしい実用万年筆ですね。商品としては女性を意識したコンパクトサイズ(レディース・ペン)ではなく、男性をターゲットとした持ち歩き用コンパクトサイズを狙ったのではないかと推測しております。因みに「ドルフィン500」のカートリッジ・バージョンはキャップを尻軸に差すと全長が約14cmで「コンパクト I 」より約5mm程短いです。この時期のシェーファーは最も脂が乗っていた頃であり商品の企画・立案・マーケティング力に優れ、パーカー・ウォーターマン・その他諸々のメーカーとは一線を画すほど先進的で魅力的な商品が多いですね。本当に惚れ惚れします。但し、このペンが商業的に成功したかどうかは……わかりません。
※↑ドルフィンとの比較(写真中央・右)。
私が使用しているのは鉄ペン・バージョンのブルー軸で字幅はXF。このショート・インレイド・ニブは紙アタリは柔らかいものの腰があり、鉄ペンながら剛性感も十分。好みのペン先ですね。長所はペン自体が軽く仕上がっているので低筆圧で軽快に筆が進むことと極細字に有りがちなカリカリ感があまり無いことです。またキャップを尻軸に差すと劇的にバランスが良くなりさらに書き易くなりますし、現行カートリッジが使えるのも「◎」です。しかし難点もありこの軽さが災いして(諸刃の剣)ペンを無駄に振り回してしまう傾向があり長文筆記をすると少々疲れますね。それ以外はあまり不満な点はありません。ペンの外観も不思議とレディースを感じさせるところがなく、何だか男っぽいデザインがシェーファーらしく面白いですね。
※↑極細字のショート・インレイド・ニブ。(スチールニブ)
さてペンのディテールですがカートリッジ専用でコンバーターは使用できません。グレードは大雑把に言えば「Compact I」が鉄ニブ、「Compact II」が14k の金ペンで前期型はカートリッジインクの残量が確認できるインク窓付タイプ、後期型はこの個体のように窓無しになります。しかしペンの詳細を掲載している海外サイト「PenHero.com」の記事を読むと少々事情が複雑なようで前期型と後期型のクリップの長さが違ったり、そこへカナダ製の製品が入り込んだりして商品を体系的に説明するのが難しいようですね。実は私、もう一本14k のブラック軸も所持しておりこちらがカナダ製で下の写真の通り商品名が「COMPACT 10」、インク窓無しタイプなのですがクリップは短く、何だか説明がつきません。これ以上深入りするつもりはありませんが……。
※↑チョークマークとキャップリング上部の「MADE IN CANADA」の刻印(ボケボケで申し訳ありません)。写真右はクリップの長さの比較。
私の持ち歩き用の鉄ペン「ドルフィン」が最近、ペン先が開きまくって字幅が太くなってしまい修復が困難なので退役させました。その後継でこのペンを使い始めましたが、中々イイ感じの実用万年筆で気に入っております。メンテナンスはカートリッジ式なのでこまめに洗浄すれば問題ないと思います。最後にショート・インレイド・ニブですがこのモデルが生産中止になった後、一度ラインナップから消えるんですが70年代に入り330、440、550シリーズのペン先として再度復活を遂げます。インペリアルⅣ・Ⅵ・Ⅷなどのロング・ポイント・インレイド・ニブよりシナリは感じませんが腰が強いので、より万人向けなのかもしれません。機会があれば是非お試しを!!
※↑黒軸(14k)はペンシルとセットでデットストック状態で購入したもの。一度もインクを通しておりません。
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